白熱球ピンチ

日常どこでも見かけるコンセントの電線を電灯線と呼びます。電灯以外で利用しても電灯線です。これは、インフラとして整備された当時、もっぱら「明かり」のためだけが目的だったからで、その名残で電灯線と呼んでいます。
日本の電灯線電圧は世界最低電圧です。言うまでもなく、この電圧が低くなればなるほど、安全性は高まりますが、効率が悪くなります。

電気をエネルギーとして利用するなら、その目的外の電力消費は効率の悪さを意味します。
扇風機の羽を回転させたいなら、そのことのみに電力を使いたいのですが、モーターのカバーを手で触れると分かりますが暖かく感じます。
これは、電力の一部が熱に返還されたので、ファンの回転以外のエネルギー消耗です。

明かりを取り出したいときに、その照明器具が発熱しているとそれはロスです。可能な限り明るく光り、発熱のない照明器具がエネルギー効率の高い器具です。

電球物体が光るのは、「光」を放射していることを言います。多くの発光は同時に熱の放射を伴います。
もし、熱くないロウソクがあれば、熱を必要としない使い方としては、非常に効率の良い発光体です。しかし、「走馬灯」にはむきません。なぜなら走馬灯が回転するエネルギーはロウソクの発熱を利用した上昇気流によるからです。
光エネルギーも運動エネルギーも両方同時に得たいなら、現実のローソクは非常に効率のいいエネルギー源と言えます。

熱の放射を伴わない発光があります。この光について人類が始めから知っているのは「ホタル」の光でしょうか。他にも光る生き物があります。
最高出力で光る生き物はホタルで、ロウソク一個の明るさを得るには15匹が光ればほぼ同じ明るさです。(ディアゴスティーニ「そうなんだ」引用)

この種類の発光現象を「バイオルミネセンス」と呼びます。「生物発光」です。

「ルミネセンス」を「冷たい光」とも呼んでいます。熱の放射は赤外線の放射です。
したがって、光から赤外線を除いた光をルミネセンスといます。ルミネセンスでない照明は白熱球だけです。

ルミネセンスは化学反応によるものをケミカルミネセンス、生物発光をバイオルミネセンス、半導体発光をエレクトロルミネセンスと呼んでいます。

蛍光灯は両端のフィラメントに電流が流れることによりジュール熱が発生し、「熱電子」が放射され、対面のフィラメントに印加された陽電圧に引かれ管内を走り、これが内部の水銀蒸気を刺激し、紫外線が発生。この紫外線がガラス管内側に塗られた蛍光塗料を発光させます。この発光はルミネセンスです。

効率がいいLED

蛍光灯が寿命となり、オレンジ色で両端が点滅していることがあります。この光はフィラメントの発光ですからルミネセンスではありません。白熱球と同じ光です。

ローソクの炎は、可視光線(見える光)と熱、つまり赤外線を放射しています。
この現象の可視光線については、化学発光、ケミカルミネセンスです。特に燃焼現象が理由で発光することを「気相反応」と言います。気相反応がなければ燃焼していても光りません。
水素の燃焼はほとんど見えません。エチルアルコールの燃焼も気相反応の少ない燃焼ですから僅かしか光りません。

テレビなどのリモコンには赤外線を放射するよう作られたLEDが発光しています。赤外線しか放射されていませんから、ルミネセンスではありませんね。
その照射を受けた場所は理論上発熱します。リモコンを操作して火傷を負うことはありません。極わずかな赤外線だからです。

キャンドルLEDは非常に効率のいい発光体と言われていることは皆さんご存知のとおりです。
ところが、市販されているLED電球に通電し、その金属部分を素手で触ると火傷するほど加熱されています。もう既にご経験の方もいらっしゃるでしょう。白熱球より熱い。
確かにその部分は熱いのですが、プラスチックの光っている部分はほとんど熱を感じません。
トータルとしての発熱量は白熱球と比べ圧倒的に少ないのです。 

白熱球の熱は利用しませんからそのまま放置しています。LEDとして利用している半導体素子は熱に弱いのです。効率よく光っていますが、物体である限りジュール熱が発生します。この熱を積極的に取り出してやらないとLED自体が壊れてしまいます。つまり、あの熱い金属はLEDを冷却するための放熱金属なので、効率よく熱を取り出していると言うことです。
エアコンで部屋を暖められますが、火傷はしません。ライターで部屋を暖房できませんが火傷します。それと同じ理屈です。

現在販売されているLED電球が今使用している白熱球の代替えになるかと言えば残念ながら期待どうりにはなりません。
まず、照明としての性能ですが、長所、短所があります。LEDの光束は指向性が強く、全面発光ができません。改良は進んでいますが白熱球の方に軍配が上がります。

更に、熱に弱いため、大量の光を得るには数を分散して得なければなりません。白熱球換算で100Wクラスの明るさがLED1つの限界です。これも改良されつつあります。

また、熱に弱いことから密封式の照明器具の白熱球の代わりに使うことはできません。

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LEDの効率がいいことは確かですから、使い方を工夫し既存照明をLEDに置き換えることは有効です。
特に、分散して発光させれば事足りる場所には積極的に利用することが省エネに貢献します。一般家庭照明には有効です。
しかし、強い点光源が必要な場合はLDEはむきません。例えば、投影装置の光源には限界があります。大電流で溶解破壊があれば火災の原因と成りえますから、単球での自動車前照灯光源にもむきません。1灯式でなく多灯式として分散しなければ必要光束を得られません。

LEDは面発光ではなく点発光ですが、小型分散することにより、面光源には有効です。LED式のディスプレイがその例です。

LEDの発光電源は直流電源しか使用できません。ですから、電灯線を電源とするLED電球には、内部に直流返還のための電子回路が組み込まれています。ここにコストがかかります。

多灯式を実現するために多くのLEDに直流電源を供給する電子回路を集中型として普及していますが、コストを無視して、一つづつのLEDに対し直流返還電子回路を当てればランニングコストを大幅に低減できる使い方があります。

イルミネーションLEDに「砲弾型」と呼ばれる種類があります。
一番初めに実用化したLEDで、リモコンの発光部(赤外線)や、そこいら中のイルミネーションに使用されているLEDのことです。これは、ほとんど発熱しない電流で発光するように作られていますので、触っても熱を感じません。これを分散型電源回路で大量に使用するのです。
元々寿命が長いLEDですが、万が一、一つが点灯しなくても他のLEDが光っておれば全体の光量の変化は少ないです。この方式は信号機に使用されつつあります。元電源さえ失わなければ、ほとんどメンテナンスなしで大丈夫です。
道路トンネル照明、自動車前照灯等、安全確保のための光源には非常に有効です。
とくに、無人化を要する場所には最適な光源で、海上航路標識ブイ、原子力施設、山小屋の照明が考えられます。

「印」の光源から「照らす」光源へ利用が拡大しています。

筆者からの提案です。小学生の「豆電球と乾電池」では難しいとしても、中学生の科学に、「LEDの点灯」を導入してはいかがかなと思います。
半導体電子工学のヒレ部分を触る程度、現代技術の紹介、きっかけとしてでいいのです。半導体なしの生活はあり得ない時期を遠に過ぎています。

まとめて買えば、実用的白色LEDと電流抑制用抵抗器を含めて1セット5円にも満たないのです。